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  • 旅先の日常に飛び込もう

    SEKAI HOTEL Fuse / 大阪府 東大阪市 記事一覧にもどる まちごとホテルに泊まって、旅先の日常に溶け込む 近鉄布施駅の駅前に、約1.8kmにわたって続くアーケード。地域に愛され、商売に溢れるこの布施商店街のなかに 「SEKAI HOTEL Fuse」 はあるらしい。 アーケードに響く、関西弁のおばちゃんたちの笑い声を聞きながら歩いていると「婦人服 キヨシマ」という看板を掲げた建物があった。よく見ると、ガラスの扉には「SEKAI HOTEL Fuse」のロゴがプリントされている。ここがホテルのフロントだった。 SEKAI HOTEL Fuseは、街全体を一つのホテルに見立てている、いわば 「まちごとホテル」 だ。フロントや客室などのホテル機能が、街の中に分散している。ホテルの大浴場の代わりに銭湯に入り、ホテルのビュッフェの代わりに地元の喫茶店でモーニングを食べる。布施の日常に溶け込むような宿泊体験ができ、 大阪下町の”粋なふれあい” を感じることができるのだ。 例えば、チェックインの時にフロントスタッフから街の地図を渡される。これは単なる地図ではなく 「SEKAI PASS」 といって、パートナーショップに提示すると特別なおまけや特典などを受けられる。とある居酒屋では、宿泊ゲストがPASSの提示に加えて「大将、いつもの!」と言うと、その日のおすすめの一品を注文できるのだ。 初めての街でも常連気分を味わえる 、面白い仕掛け。「SEKAI PASS」が、布施商店街の扉を開けてくれる! 今回、お話を伺ったのは、 SEKAI HOTEL株式会社プロジェクトマネージャーの北川茉莉さん。 「 正社員のプロジェクトマネージャー として働いてくれる人を探しています。私たちはゆくゆく全国に20拠点展開していくことを目指しているので、まずはフロントの現場を体験し、その経験を他の地域に展開していくためのノウハウとして蓄積できる人。そして、それにワクワクできる人がいたら、と思います。」 SEKAI HOTEL Fuseが目指す世界と、ここで働く魅力について、北川さんは柔らかな笑顔で語ってくれた。 (チェックイン時にゲストに引いてもらう「布施みくじ」と北川さん) 「あたかもよし」な恰好良さ。未来の世代のためのまちづくり。 「私たちはホテル運営において 、"恰好いい(かっこいい)"を大切にしています 。"あたかもよし"と書いて"かっこいい"。飾りつけたかっこよさではなく、(状態が)ちょうどいいさまを目指しましょうと。事業の進め方やサービスの提供に対して、 適切で本質的であるという姿勢 を意味しています。お客様からいただく金額についても同様です。また、街という単位に対して、適切なあり方で人を呼びたいと考えています。」 過剰な発展を求めるのではなく、街に寄り添ったホテルの在り方を意識している。そして「布施のことだけというより、日本の地域やその魅力をどう残していくかを考えている」そうだ。宿泊の場を通して、 未来の世代に向けての地域づくり を進めているのも、SEKAI HOTEL Fuseらしい取り組みだ。 「うちの社長は、まだ生まれていない子供たちのために、より良い事業を作りたいと常々言っています。未来の街で生きる子供たちのことを想像しながら街を作っていく必要があると考えており、その思いから地域の子供向けイベントなども行っています。 その一環として 『ソーシャルグッド200』 という取り組みがあります。宿泊料金の一部(200円)が、自動的に地域の未来のために積み立てられる仕組みです。宿泊ゲストは、チェックアウト時にどの活動にその寄付を充ててほしいかを選ぶことができます。選択肢としては、新しい客室の建設や、子どもたちのための活動などがありますね。」 今を最適解にするためのホテル運営ではなく、少し先の未来を想像しながら今を生きる。そこに「一役買いたい」「一緒に取り組みたい」という人の輪が広がって、SEKAI HOTEL Fuseには素晴らしいスタッフが集まっているのだ。 経歴も個性も豊かなメンバーと、より良い社会を目指して ホテルで働くスタッフについて、SEKAI HOTEL Fuseでは 「ホラクラシー(※1)な組織」 を目指しているそうだ。具体的にはどんなマインドセットが必要だろうか。 「スタッフには専門性を持ち、自信を持って仕事をする一方で、チームメンバーをリスペクトする姿勢が必要です。組織は縦割りや分業ではなく、 各自の強みを活かし、フラットな関係で協力し合っています。 議論は対等ですが、その目的は常にゲストの体験の向上や、より良い社会づくりを意識しているべきだと思います。」 現在、SEKAI HOTEL Fuseには、インタビューさせてもらった北川さんを含め3名の社員がいる。北川さんに、それぞれのメンバーについて他己紹介してもらった。 「小林さんは、ホテル経験者が会社にいない中で、拠点の立ち上げや支配人を経験し、今は宿泊の事業責任者をしています。主にバックヤードの業務として、具体的には労務や法務、宿泊料金の管理などをしています。不器用なところもあるけど(笑)、真面目で任された仕事を着実にこなしてくれる、とっても頼りになる存在です。SEKAI HOTELを0(ゼロ)からずっと見てきた人。 (左:北川さん 右:小林さん) もう一人は新入社員の岡本さん。彼女は大学時代、リトアニアに1年間留学していた、ユニークな経歴の持ち主です。奈良県の生駒市出身で、地域と関わりながら働くことに興味があり、最初はインターンとしてSEKAI HOTELにきてくれました。就職するつもりはなかったそうですが、布施の街で過ごすうちに縁を感じ、ここで社会人としてスタートを切りました。岡本さんにとって大切なのは、特定の場所への愛着よりも、その街で暮らし、関係を築いていくことの方が魅力的なんだそうです。」 会社のメンバーについて語る北川さんは、まさにホテリエのお手本のような、優しい笑顔でほほえむ。でも、北川さん自身は「サービス業は得意ではあるが、それが『やりたいこと』や『好きなこと』ではなかったと思う」と言うので意外だった。 実は、北川さんは国立大学に在学中、学生団体の活動などに熱心に取り組み、色々な肩書きをもらいながら、「いい子」で、生きてきた。そんな自分に疲れた彼女がたどり着いたのが、この布施という街である。そこで、地元の人たちは肩書きではなく「神戸から来たまりちゃん」として、彼女自身を温かく迎えてくれた。「まりちゃんは何が好きなの?」「お茶でも飲んでき〜。」そんな何気ない、布施の人たちとの交流は、北川さんにとって特別なものだった。時には、お好み焼き屋のおばあちゃんに「あんたは孫みたいな子やから、お金なんて取れんわぁ!」と言われ、押し問答したこともあったそうだ。この環境に身を置けたことが嬉しく、北川さんは恩返しの気持ちを持ちながら、今日も布施で働いている。 (※1ホラクラシー: 社内に役職や階級などがないフラットな組織形態のこと) 「この街だからこそ」できることと、寄り添いながらホテルを運営していく 現在、SEKAI HOTEL Fuseではカスタマージャーニーを分析し、ゲストの動きを把握するためのデータが蓄積されてきている。さらに、商店街の店舗とも連携し、ゲストが街でどのように動いているのかを可視化する取り組みも進行中である。 これによって、事業が地域経済の活性化につながっていることを証明し、さらに再現性のあるモデルとして確立できれば、 地方自治体や大企業が対応できない地域でも「この街だからこそ成り立つ」 独自の形で事業を展開できる可能性が見えてくるだろう。 いい意味で「この街だからこそ成り立つ」のは、ゲストの宿泊体験に関してだけではない。SEKAI HOTEL Fuseでは、なんとスタッフが 週2日、連休でお休みを取れる 。これも、この街ならではの運営スタイルだ。 「SEKAI HOTEL Fuseは、ホテルとしてはちょっと変わっていて、水曜と木曜がお休みなんです。地方の観光業って、普通365日休まず営業するものだと思われるんですけど、あえて週休2日にして、スタッフがまとめて休みが取れるようにしています。営業日を増やせば宿泊予約は入るかもしれませんが、それには正社員をもう1人雇う必要があって、その人件費がかかりますよね。で、それが本当に最適な解決策なのかと考えた結果、水曜と木曜は休館にしたんです。 まだ実験段階なんですが、今後客室も増やしますし、今の稼働率が続けばさらにお客さんが集まって、売り上げも伸びるんじゃないかなと期待してます。 一方で、これから他の地域に拠点を展開していくことになった時、布施では起こらなかったような問題が他の地域では出てくるかもしれません。でも、それも地域ごとにトライアンドエラーを繰り返して、最適なやり方を見つけていけるんじゃないかな。それがすごく楽しみです。地域ごとに商店街の営業日や事情も違うので、その街に合わせた営業スタイルを考えて、柔軟に対応していこうと思ってます。」 SEKAI HOTEL Fuseは、地域に溶け込みつつも、独自のアプローチで持続可能な事業モデルを模索している。スタッフが週休2日制を取れるというユニークな運営体制も、効率だけでなく、働きやすさや地域に適したやり方を追求する結果である。 北川さんは、そんな会社としてのチャレンジを「めちゃめちゃ面白いフェーズ」に入っていくところだと言い、イキイキと声を弾ませて話した。 No Borderなセカイへ 最後に、SEKAI HOTELが目指していることについて語っていただいた、 「私たちのビジョンは 『No Borderなセカイ』 です。事業を始めるとき、SEKAI HOTEL代表の矢野はこの絵を持って、ビジョンを掲げて、出資を募りました。」 「お祭りの夜の絵です。絵の中には、SEKAI HOTELスタッフや地元の方、観光客もいれば車椅子の方もいる。右上に描かれている建物の中には、子供たちと寺子屋のような学びの場も見えます。 お祭りの夜って、自分もみんなも浮き足立ってワクワクしていますよね。そういう時って、自分からいろんな人に、優しくなれる空間です。 SEKAI HOTELという事業として、そんな お祭りの夜のように、お互いに優しくできる環境 を実現していきたいです。そして、布施に限らずどの街でもそんな素敵な瞬間を作れると信じています。世界に『No Border』だなって感じる瞬間を、増やしていけたらと思います。」 街に寄り添い、宿泊事業を通じて社会全体をよりよくしていく。地域とともに未来を築く姿勢が、SEKAI HOTELの大きな魅力と言えるだろう。ここで働く日々が、誰もが分け隔てなく交われる世界に繋がっている。 問い合わせフォームをみる 問い合わせフォームをみる 給与(想定年収、賞与有無) 職務内容 仕事内容 雇用形態 勤務時間 募集職 勤務地 SEKAI HOTEL Fuse (大阪府東大阪市足代1-19-1) 総支給額240,000円 ①基本給190,000円 ②固定残業手当 40,000円 固定深夜手当10,000円 9:00- 22:00のうち、シフト制で9時間(うち1時間休憩あり) 【1日のスケジュール例】 8:50 出勤 9:00 チェックアウト対応 10:30 清掃チームへの指示だし、当日チェックインゲストお部屋確定等作業 11:00 朝礼にて当日の現場の動き方の確認 12:00  1時間のランチ休憩 13:00 カフェ営業開始、毎日来られる常連のおっちゃんとおしゃべり 13:30 清掃状況の確認、最終お部屋セット 15:00 チェックイン対応 16:00 フロントスタッフに現場対応を任せ、自身のタスク処理 例)次回のプラン企画の企画書を詰める、ご協力店舗との打ち合わせを実施など 18:00 退勤 【未経験者の皆様】 まずは現場の清掃業務や接客業務からスタートします。 個人の得意ややりたいに合わせて、専門領域に関する仕事を面談にて相談しながら適宜役割が付与されます。実力に合わせてお仕事も任せていきます。 【経験者の皆様】 経験者の方でも、まずは現場業務をこなしていただきます。 その上で過去の実績に基づいて役割を付与していきます。 ▶︎現在のスタッフの役割分担事例 ①労務/人事/Webマーケ ②広報・PR/SNS運用/プラン企画 ③海外マーケ/近隣店舗との関係性構築/現場アルバイトの育成 【その他】 ホテル勤務経験のないスタッフがほとんどです。業界の当たり前を知らないために、新しい施設の展開や運用形態となっています。それらを面白がって、共に会社の体制を作っていきたいと感じられる方には、魅力的な環境であると考えます。 また、今後は多拠点展開を目指しています。属人的なサービスを本人が提供するだけでなく、汎用性の高い再現可能な仕組みづくりに取り組んでいただける方を募集します。 正社員 プロジェクトマネージャー 年間休日108日 完全週休2日(水木) 特別休暇(4半期に1度4~5日間)、年次有給休暇、慶弔休暇 休日休暇 社会保険(健康保険・厚生年金・雇用保険・労災) 交通費支給 (当社規定による) 福利厚生 LGBTウェルカム (実際にセクシュアルマイノリティ当事者が働いています) 外国人スタッフの雇用実績有 その他PRポイント 社員寮・住宅手当の有無 社員寮|なし 住宅手当|なし 応募要項 待遇・労働環境 なし 応募資格 求める人材 経験の有無は問いません。 記事を読んでいただき、弊社の取り組みに共感や関心を持たれた方とはぜひ意見交換も含めてカジュアルにお話しができればと考えています。 募集期間 採用予定人数 1~3名 会社説明会(オンライン) ⇨書類選考 ⇨面談 ⇨現場見学 (⇨ご希望であれば、インターン) ⇨面接 選考プロセス 社風 ★恰も良し 未来につながるカッコいいをつくるをミッションに掲げ、活動をしています。 飾り付けられた「格好良さ」ではなく、まことに具合がいい様を表す「恰(も)好(し)」を目指しています。 自分やゲスト、まちに対してもどんな在り方が適切であるのか自問自答しながらも模索し続けています。 ★「フレンドシップ」でつながるコミュニティづくり 持続可能な地域観光を目指すにあたり、SEKAI HOTEL スタッフ・観光客・地域住民が"対等"で"友好"的な関係性を築くために「ホスピタリティ」ではなく「フレンドシップ」をもって双方への対応を行なっています。 ★ホラクラシー組織 分業型の階層組織ではありません。スタッフ間でもお互いにリスペクトを持ちながら、対等な関係を築いています。 ホラクラシー組織とは、その時々の状態に合わせて適切な役割分担を行うことができる柔軟な組織体系となっています。 ★コンテンツの種は常に現場から SEKAI HOTELが届けるべき、魅力的な日常はまちに眠っています。現場でそれらを触れるスタッフが最も価値に近い存在として、旬な情報をキャッチアップし適切に編集。そして魅力的に届けることが必要であると考えています。社員も常に現場に出向き、まちを歩き、ゲストの体験に触れることを重要視しています。 20名 従業員数 ホテル名 SEKAI HOTEL Fuse 3名 社員数 会社・施設概要 会社名 SEKAI HOTEL株式会社 ホテル公式ウェブサイト https://www.sekaihotel.jp/area/fuse/ Instagram:@sekaihotel ホテル公式SNSアカウント 旅先の日常に飛び込もう SEKAI HOTEL Fuse October 8, 2024 UP

  • とけあう、ひろがる、ゆたかになる

    LINNAS Kanazawa / 石川県 金沢市 記事一覧にもどる 石川県金沢市。近江町市場から「いらっしゃーい!」と、活気ある掛け声が聞こえてくる。「金沢市民の台所」と言われるこの市場は、今となっては観光スポットでもあるけれど、地元の人や金沢の料理人たちも日常的に足を運ぶ。金沢の暮らしには欠かせない場所だ。 そこから3分ほど歩いたところに 「LINNAS Kanazawa」 はあった。 LINNAS Kanazawaの建物は、元々は美容の専門学校だった。リノベーションを経てホテルとして運営している。外観は、確かにどことなく学校の面影がある。 一歩館内に入ってみると、天井から吊るされたたくさんの提灯が目に飛び込んできた。この温もりある灯りが、日々ゲストを迎え入れているのだ。 今回募集するのは、LINNAS Kanazawaの正社員クルーとなる、フロントマネージャーのポジション。クリエイティブに自分のキャリアを描き、行動したい人。そしてホテルを起点に街の魅力を伝えることに興味がある人には、きっとぴったりな仕事だろう。 コロナ禍はチャンス まずはLINNAS Design代表の松下さんにお話を伺った。 東京生まれの松下さん。以前働いていたホテルベンチャーの会社が金沢へ店舗出店したことをきっかけに、2017年ごろから出張で足を運ぶようになった。 地元のコミュニティにしっかり関わり向き合いながら、場を育てていたという。しかし、それは突如中断となった。 コロナ禍によって、前会社の金沢店舗の撤退 が決まったのだ。 「そのまま終わらせることもできたけれど、僕自身はこの街にすごく 愛着 がありました。事業の面でも、 観光地としてのポテンシャル が非常に高いと考えていたので、『まだやれる』と思っていましたね。そこで不動産オーナーさんと交渉し、撤退したホテルの次の運営者として、LINNAS Kanazawaを始めることに決めました。」 コロナ禍で起業。しかも当時、甚大なダメージを受けていた観光業での起業とあって、周りからは当然心配の声も上がったらしい。しかし松下さんはそこに可能性を見出した。 「 コロナ禍はむしろ、新しいことに取り組むチャンス 。自分の中では好機を見つけられているけれど、他の人たちはまだ気づいていない。その差にもポテンシャルがあると感じました。」 窮地に立たされたところからがスタート 「逆境をチャンス」 と捉えられる、松下さんの強いメンタリティの根底には、自身がバックパッカーとして世界中を旅した経験があるそうだ。 「世界64カ国を訪れたなかでは、窮地に立たされることもありました。あらゆる交通手段が絶たれて、どうしたら次の場所に進めるのか。ネットにも情報がない。そうなったところからが勝負!そこからが、旅のスタートなんです。」 「一般的には行くのが難しいと言われている場所でも、いろんな人に話を聞いて、助けてもらって次に駒を進めていく、みたいなことは何度も経験してきました。この 『旅人マインド』 が根底にあるんじゃないかなと思っています。」 旅人ならではの、粘り強く実行するマインドセットが、LINNAS Kanazawaを着実に前進させてきた。 チャレンジし続けた2年間 2021年4月に開業したLINNAS Kanazawa。この2年間を、松下さんに振り返ってもらった。 「この場所があったからこそ、色んなことにチャレンジできました。例えば、LINNAS主催で行ってきたイベント。イベントを打つこと自体を目的にせず、(イベントをすることで)社会にどんな価値を生み出すことができるかにこだわって企画してきました。コロナ禍だからこそ、新しい取り組みや価値観を打ち出すことで注目してもらえたし、我々の取り組みに賛同してくれる方達にもたくさん出会えました。」 例えばこんなイベントが行われてきた。北欧発祥のSDGsスポーツである「Plogging」。 ゴミ拾いをしながらジョギングする アクティビティである。LINNAS Kanazawaでは、宿泊ゲストや地元の参加者を交えて、みんなで朝の金沢の街を走る。 観光客が増えると、観光客は街の人にとって「街を消費していく存在」と捉えられてしまうこともある。しかしこの取り組みを、LINNAS Kanazawaがイベントとして行うことで、観光客とも地域とも良好な関係を築くことができる。 オーバーツーリズム問題に一石を投じる 催しだ。 Hyggeなライフスタイルを体験できる場所 松下さんは、LINNAS Kanazawaを 「宿泊施設ではなく、街のなかの小さな複合施設」 と表現する。単なる宿泊機能に留まらず、先程紹介したようなイベントの開催や、シャアキッチンでの料理、フィンランド式のプライベートサウナ、ラウンジスペースで仕事もできたりと、様々な過ごし方ができる場所なのだ。 「 私たちが考えるこれからのライフスタイル『衣食住働遊』 を、この場所を通じて様々な形で提案しています。そんな滞在の軸となる コンセプトは”Hygge(ヒュッゲ)” 。デンマーク語で『居心地のいい時間、ほっとする空間』というような意味の言葉です。」 松下さんは北欧のエストニアという国に住んでいたことがある。当時の暮らしと金沢の暮らしの共通点が”Hygge”だったようだが、日本でインテリアの文脈などで一般的にイメージされる「北欧風」とは違うようだ。 あえてHyggeをコンセプトとして設定している理由を聞いてみた。 「LINNASが北欧らしい内装であるとかではありません。例えば、シェアキッチンでゲスト同士で食材の交換をしたり、お酒のシェアをしたり。仕事の合間に街を歩くと、川や緑などの自然を身近に感じられたり。そんな時にゲストは『Hyggeを感じました』と教えてくれます。」 「日常にある豊かさって、当たり前であればあるほど感じられにくいものです。でも、Hyggeがコンセプトであることで、滞在の中でゲストが Hygge(=暮らしの中の豊かさ)を見つけやすくなります 。」 例えばワインやコーヒーのテイスティングノートのように、〇〇のようなフレーバーだと言われることで、飲んだ時によりその味を感じられることがある。コンセプトの Hyggeは、言わば金沢滞在のテイスティングノート 。ゲスト自身で感じ取りながら、旅を楽しんでもらえたらという思いの元、設定された。 ホテルが提供したい価値の解釈に、余白を持たせるコンセプトの在り方だ。 『面白い街』に、LINNASが旗を立てていく 松下さんに、LINNASの今後の展望についても聞いてみると「『 LINNASがあるってことは、その街はきっと面白い』 と思ってもらえるホテルブランドにしていきたい!」という答えが返ってきた。 「僕たちにとっての『面白い街』とは、 深掘りしがいがある街 。工芸や食、アートなど、切り口は色々あるのですが、何よりも その地域に住む人たち自身が街に誇りを持っている と、面白みを感じます。」 「例えば金沢はすごく職人気質な街という印象で、食も工芸も素晴らしいものが多く、街の人もみんな目が肥えている。でもその深い魅力は、街の外に出きっていないと思います。そこに深掘りしがいがあります。LINNASはただ泊まれる場所というより、 街の魅力を伝えることができるリアルなメディア。街のディープな魅力へ通じる扉の鍵を、ゲストに渡す役割 を担っていると思います。」 いつか世界中の『面白い街』に、LINNASが旗を立てていく。それを見た世界中の旅人が、その街の扉を開けにやってくるだろう。 街の扉を、開ける役割 LINNAS Kanazawaで活躍する、アルバイトクルーにもお話を伺った。ホテル業未経験でジョインした水(みず)さん。自身も旅行の際には、ライフスタイルホテルやコンセプトの面白いゲストハウスを選ぶことが多いそう。 アルバイトを探していた時、LINNAS Kanazawaではシェアキッチンやイベントなどを通じて、誰かと旅を共有できる空間が提供されていることに興味が湧いた。水さんは、積極的にゲストとのコミュニケーションを取るそうだ。 「LINNAS Kanazawaで働くうえで大切にしていることは、とにかく声をかけること。チェックインの時だけでなく、外出される場面などでも、一言でも言葉を交わすようにしています。 それから、おすすめのお店や場所をお伝えするときは、ただ店舗名を教えてあげるだけでなくて、 このお店のこのメニューが美味しい!ここからの景色がいい! など、丁寧に詳細に伝えます。」 まさに先程の松下さんが言っていた、 街の扉を開ける 役割だ。時には海外から来たゲストの代わりに、レストランの予約電話をしたり、タトゥーがあっても入れる銭湯を探したりもしたそうだ。 「そのゲストの金沢滞在が、より良くなるためのお手伝いという感覚です。それは私にとってのやりがいですし、タスクというより楽しんでやっています。」 1Day 1Creation LINNAS Kanazawaの現場では、水さんのようなクルーの働きで、常に良い変化が起きている。 「ホテルのフロント業務を経験した人にとっては、 『こんなこともするんだ!』 と感じることもあるかもしれません。フロントでチェックインの手続きをするだけじゃなく、例えばシェアスペースの掃除やイベントの企画まで行います。 それに、私たちのバリューには『 1Day 1Creation』 という言葉があります。日々のルーティン業務の中でも、新しい価値を生み出すアクションを起こすということです。だから、 新しいことに挑戦するのが好きな人 や、この『普通のホテルと違うこと』を楽しめる人は、LINNAS Kanazawaに向いていると思います。」 HUB!な人と働きたい この記事の執筆者の私も、実はLINNAS Kanazawaで働く一員だ。私はフロント業務をしながら、SNS運用、イベントの企画運営、そしてこの「ホテル共創採用メディア」の編集長も担っており、夜に時間があれば金沢のバーで複業したりインフルエンサーとしてTV出演したりしたので、『普通のホテルと違う』のを体現していると思う(笑)。 最後に私から、LINNAS Designの社員として大切にしている精神と、この会社の一番好きな価値観を伝えたい。 まず、大切にしている精神は 「Be HUB!」 。地域やゲストとの繋ぎ役になろう、という意味だが、HUBはそれぞれ 「Humble」「Unique」「Brave」 の頭文字を取っている。 人にも自分に対しても、常に謙虚な気持ちで(Humble)、 自分らしさやLINNASらしさ、その地域らしさを大切に(Unique)、 そして勇敢にチャレンジする起業家精神(Brave)を持つこと。 特にBraveは重要だ。挑戦して、時には失敗もして、トライアンドエラーを積み重ねていく。そして成功した時こそ謙虚さを忘れずに、どうしたらさらに良くできるかを考える。 これらの精神が共通している人、こんな経験を経てきた方達と、一緒にLINNASを創りたい。 そして私が個人的に、一番好きな価値観は 「家族的情味」 。私は一社員だが、自身が給料で繋がっている雇われの従業員だと思ったことは一度もない。アルバイトクルーとも、私たちは兄弟姉妹のような感覚で応援し合い、支えてもらっている。家族のような人情味があるチームだ。 小さな組織だからこそ、王道のキャリアは決まっていない。それを不安に感じる人もいるかもしれない。代表の松下さんからはよく「キャリアは作るものです!」と言われるけれど、自分だけで頑張ってキャリア切り拓いてね、という意味ではないので安心してほしい。 それぞれが目指したい世界や、挑戦したい夢に向かって、 対話を重ねながら一緒にキャリアを作っていく のが私たち。現に私は「ホテルマンを憧れのお仕事にしたい!」という夢を松下さんに語って入社し、今こうして採用メディアという切り口で、夢の実現に一歩近づくことができた。 クルーの成長は、LINNAS Designの成長に繋がる。 LINNAS Kanazawaでの仕事を通じて、ゲストにとって、街にとって、そして私たちにとってより良い未来を、共に創っていきませんか。 文・ホテルみるぞー 写真・吉崎 努 問い合わせフォームをみる 問い合わせフォームをみる 給与(想定年収、賞与有無) 職務内容 仕事内容 雇用形態 勤務時間 募集職 勤務地 勤務地:石川県金沢市尾張町1−2−8LINNAS Kanazawa その後新規施設開業のタイミングで他地域への転勤がございます。 ①フロントマネージャー総支給額 月額280,000+各種手当 ②フロントスタッフ 月額240,000+各種手当 1、 基本給 211,300円(2の手当を除く額) 2、 時間外手当(時間外労働の有無に関わらず、45時間分の時間外手当として68,700円を支給) 3、 45時間を超える時間外労働分についての割増賃金は追加で支給 ※試用期間中も条件変動なし 【賞与】年1回 ※業績に基づく 【予想年収例】マネージャー360万円~/年(※フロントクルー288万円~/年) 【各種手当】福利厚生欄をご覧ください 毎月のシフト制(土日数に応じた休日数)/ 週5日+45時間のみなし残業込み 時間外労働あり:月平均30時間 勤務内容例: 8:50 出勤 9:00 チェックアウト対応 10:30 清掃チームとコミュニケーション、メール返信やレビュー確認 12:00  1時間のランチ休憩。近所の定食屋さんへ(670円のローカル定食が美味しい) 13:00 ミーティング 14:30 インスペクションのダブルチェック 15:00 チェックイン対応 16:00 フロントクルーにフロント周りを任せ、企画のための作業(美味しいコーヒーをお供に) 18:30 仕事終了。近所のスーパーに寄ってから徒歩で帰宅。 ① まずは弊社のカルチャーや運営スタイルを幅広く理解していただくため、LINNAS Kanazawaのフロント業務を中心に運営全般に携わっていただきます。また、運営の現場に入るだけでなく、客室売上の最大化、各OTAサイトとのコミュニケーション、マーケティング施策の立案、シフト作成等、地域でのプロジェクトの企画提案などを行なっていただきます。また、今後の新規施設の開業の際には立ち上げチームに加わっていただき、新メンバーのトレーニングやサービス設計等幅広く担っていただきます。 ② 接客、清掃チームとのコミュニケーション、地域のコミュニティメンバーとのコミュニケーション、イベント運営・企画などLINNASのホテル運営にまつわる業務をお願いします。 アルバイトスタッフやインターン生が新しく入社する際はトレーニングもお願いしていきます。 正社員 ①フロントマネージャー ②フロントスタッフ 毎月のシフト制(土日数に応じた休日数)、年間休日数105日 休日休暇 「街ディグ制度」毎月上限10,000円(税込)、補助率50%で対象地域での飲食代をサポートします(オペレーションスタッフ対象)。 「風の人制度」少なくとも年に1度、有給休暇と通常のお休みを合わせて12日以上連続でお休みをとる権利があります。 福利厚生 【金沢の生活環境】 LINNASが位置する金沢市尾張町は、街中に位置しており生活の便利さに関しては都心部と変わりません。 観光エリアですが、徒歩圏内に住宅エリアが共存し、近くにはスーパーや市場があり、街中に暮らすと徒歩や自転車、必要に応じてバスで生活が可能です。 また、美術館や公園が街中に点在しているため、過ごしやすいかと思います。 家賃相場は都心と比べると低めです。 【子育て】 代表の松下自身、小さな子供の世話をしながら働いております。お子様がいらっしゃる方には保育園/小学校の情報や行政のサービスなどの共有はもちろん、幅広くサポートします。 【多様性】 海外経験があるスタッフも多く、オープンマインドなスタッフが多いです。 外国籍の方もやる気と情熱がある方はもちろんウェルカムです。 【その他】 館内に喫煙室設置(喫煙室以外は全館禁煙) その他PRポイント 社員寮・住宅手当の有無 社保完備。金沢エリア以外からの移住に関してもサポートいたします。 応募要項 待遇・労働環境 ・マネージャーポジション:社会人経験3年以上、マネージャー業務経験1年以上。業種は問いません (※フロントクルー:社会人経験1年以上。業種は問いません) ・日常会話レベル以上の英語力 応募資格 求める人材 ・LINNASが大切にしている『Be HUB!』精神を持っている方 ・様々な種類の「場・コミュニティ」の中でも特に「ホテル」という場の運営に興味を持っている方 ・数字で物事を組み立てられる方 ・何事もポジティブに取り組める方 〜2023/10/14 募集期間 採用予定人数 1-2名 応募いただいた後、オンラインまたは現地で面接いたします。 選考プロセス 社風 1. One Day, One Creation ルーティーンワークが多くなりがちな場·コミュニティも運営においても、日々何かしらの価値を世の中に提供することを強く意識します。また「普通ホテルは…」そんな風にあたりまえとなっていることを常に疑い、改善し続けます。 2.家族的情味 私たちはチームとして家族的情味を大切にしています。それは決して馴れ合いの仲の良さを意味するのではありません。大切な仲間だからこそ、良い事も時には厳しいことも直接伝え合う関係性が重要だと考えています。 3.粘り強さ 目指すべき世界、ゲストに提供したい空間や時間、それらを達成するための努力は惜しみません。トライアンドエラーを繰り返しながら、より良い価値提供のため、粘り強く挑み続けます。 4. 目的のある効率化 ゲストとのコミュニケーションを増やすため、新しいことに挑戦するため、そして私たち自身の人生を豊かにする時間を作るため。デジタルツールを積極的に取り入れ、目的を持って効率的な仕組み/体制作りを意識しています。 7名 従業員数 ホテル名 LINNAS Kanazawa 3名 社員数 会社・施設概要 会社名 株式会社 Linnas Design (リンナスデザイン) ホテル公式ウェブサイト https://www.linnashotels.com/kanazawa/ linnas.kanazawa ホテル公式SNSアカウント とけあう、ひろがる、ゆたかになる LINNAS Kanazawa March 21, 2023 UP

  • 東京下町の日常に入り込む。地域に根ざした「ホステルホテル」HOTEL GRAPHY 根津

    【 je prends ça 】は、金沢・北陸を中心した美味しいお菓子を集めたセレクトショップです。 日常生活にもっとお菓子を取り入れるライフスタイルをご提案します。 記事一覧にもどる 上野駅で電車を降り、不忍池に近い出口に向かって歩いた。まだ少し肌寒いが、カラリと晴れた2月末の今日、上野駅前は多くの人で賑わっている。今回は、大都市東京でありながら 下町情緒を感じられる「谷根千」エリア に宿泊だ。 公園を横目に15分ほどてくてく歩くと、静かな住宅街に辿り着く。ブルーグレーのタイルに「HOTEL GRAPHY」の文字が浮かぶエントランスを見つけた。 「 HOTEL GRAPHY 根津 」 は LIVELY HOTELS が手がけるホテルで、ホステルのような自由でラフな雰囲気でありながら、ホテルとしての設えや快適さを兼ね備える。 私は東京に住んでいるけれど、見慣れない 根津のローカルな空気感 に胸が踊る。「何かおもしろい出会いはあるかな?」バックパックを背負ってチェックイン、気分はしっかり旅人だ。若いスタッフさん達が、フロントで笑顔で迎えてくれた。 …… チェックインを済ませ、木製のキーホルダーがついたカギを受け取る。早くお部屋に行きたいところだが、今日は済ませないといけない仕事がある。フロントの奥に共用ラウンジがあるというので、そこで少し作業させてもらおう。 共用ラウンジ には、テレビを囲むように配置されたソファ席、テーブルスペース、壁のイラストが印象的なコージーなスペースがある。広い窓から柔らかい日差しが入っている。リビングのように心地よくて、多目的に使える柔軟性のある場所だ。 さらに、共用ラウンジの隣には キッチン がある。もはや「調理場」と呼んでもいいくらい広く、作業台も多くてとても使いやすそう。部屋番号が割り振られたクリアボックスは、長期間滞在するゲストが食材を保管しておくために。このキッチンは24時間利用できることも含めて、 長期滞在するには嬉しい設備 だろう。 キッチンと共用ラウンジの間には、ビリヤード台とテーブルサッカーがあった!余談だけどLIVELY HOTELS系列のホテルでは、ビリヤードやゲームの類をよく見かける。 自然と人が集まれる、素敵な仕掛け だなと思う。 ビリヤードって、なぜか大人の嗜みって感じがするな。私も颯爽とゲームに参加して、腕前を見せつけたいところだが、私はビリヤードを一度たりともしたことがないのだ。人は急に凄腕のビリヤードプレイヤーにはなれないので、諦めて仕事を始めることにする。ラウンジには、私の他にも数人パソコンを開いているゲストがいた。部屋よりも、少し人の気配がある場所のほうが捗るよね。 …… 仕事がひと段落したところで、客室へと向かう。泊まるお部屋は 「スーペリアシアターキングルーム」 。キングベッド1台に、冷蔵庫やデスク、バストイレもついている。 HOTEL GRAPHY 根津では、このような プライベートな部屋タイプの他にドミトリータイプ もある。より価格をおさえて、他ゲストと出会えるホステルらしい滞在をしたい人にはそちらがおすすめ。 お部屋にあったデスクやライトはビンテージ調で、良い意味でホテルらしくない。「画一的に作られている」という印象がないから、何となく自分がスッと馴染めるような空間だ。一方で、カーテンのグラデーションやオリジナルロゴのクッションが、お部屋に立体感を生み出している。 そしてこの客室には、100インチのスクリーンと最新のプロジェクターも完備。 日常と非日常のいいとこ取り のようなステイができそうだ。 サービスのコーヒーを淹れて、ウェルカムクッキーをかじる。リラックスタイムを噛み締めるようにちょっとずつかじると、ふんわりと紅茶の香りがした。 …… 今日の滞在で、ひとつ楽しみにしていたことがある。それは夕方6時から始まる、1時間限定の 「フリービール」タイム !宿泊者は、1階のカフェでビールを無料で飲むことができる。きっとこれもまたLIVELY HOTELS 系列ならではの、ゲスト同士の交流を生むきっかけ作り なのだ。 楽しみにしていた、とはいうものの、私はこういうイベントで人と話せないタイプの、シャイなジャパニーズなのだが……。この機を逃したら交流の難易度が上がるだけなので、思い切って輪の中に飛び込んでみた。欧米系の男性4人が同じテーブルに座っていたので、ビールを片手に声をかけた。大きな声で「Hi!」って言うのが大切だ(笑)。彼らは快く会話に入れてくれて、日本に来るまでの旅の話を聞かせてくれた。 テーブルの反対側では、同世代くらいの女性が一人でビールを飲んでいた。先の成功体験で勢いづいた私は、お酒も入ってイイ感じになって、彼女にもヌルッと話しかけてみた。彼女は東北の方に住んでいるが、ひんぱんに東京出張があるのでHOTEL GRAPHY 根津のドミトリーを定宿にしているらしい。 どんなところが気に入っているのか聞いてみると、「仕事終わりにチェックインするから、フリービールは最高〜!あと、 ドミトリーなので共用バスルームを使うんですけど、バスマット用のタオルがたくさん置いてあるのも嬉しい。 珪藻土みたいに常に置いてあるタイプは使用感が気になることがあるけど、タオルなら1枚取って新しいのを使えるから。」と、何ともユーザー目線な推しポイントが返ってきた。 お腹が空いてきたので、同じテーブルのみんなと別れて、夜ご飯を食べに行くことにした。少し話しただけではあるけど、彼らはもう他人ではなく、名前を知ってるハウスメイトだ。 泊まっているなら同じ空間にいるのだから、またすれ違えば挨拶を交わして、一緒に過ごすこともあるだろう。ひとり旅でも、どことなく拠りどころができたように心が和やかになる。 …… フロントのスタッフさんにおすすめのごはん屋さんを聞くと、HOTEL GRAPHY 根津手作りの周辺ガイドブックを見せてくれた。 「ここは美味しいし、お一人でも入りやすいですよ」と教えてもらったのが、宿から徒歩5分ほどのところにある「日本酒バー 慶」。ここがまた、すごく好みなお店だった。着物の女将に日本酒をおすすめしてもらい、それに合うアテと温かい餡の「つけうどん」を食べた。数席のカウンターは常連さんで埋まっていたが、一見の私にも気を配ってくれたのがありがたかった。 さすが、日々ご近所のお店や観光情報を調べてキュレーションしているスタッフさんのおすすめは間違いない。身も心もホカホカに温まって、宿に帰りぐっすり眠った。 …… 次の朝、起きて軽く支度をして、昨日ビールを飲んだのと同じ1階のカフェに降りる。朝ごはんを食べるためだ。 朝ごはんのセットメニューは4種類ほどあり迷ったが、私は 「クラムチャウダーと谷根千のパン」 セットにした。ドリンクとヨーグルトも付いてくる。近隣のベーカリーから仕入れているという日替わりパンは、地元民から超絶人気なのも納得の美味しさだ。 スープを飲みながら窓の外をふと見ると、小学生が朝日に目を細めながらホテルの前を通って登校して行った。ほっこりする。ここは 東京下町の日常に溶け込んでいる 。小学生の背中を見送る私も、根津の 地域コミュニティの一員になったような気分 だ。 ホテルとしての設備やサービスを楽しみつつ、旅人らしい自由さやローカルを探検するような面白さも感じたい。そんな人にぴったりのHOTEL GRAPHY 根津だった。 予約はコチラから 「 HOTEL GRAPHY 根津 」公式HP 東京下町の日常に入り込む。地域に根ざした「ホステルホテル」HOTEL GRAPHY 根津 2024.03.27

  • Column|Studio STAY

    コラム・イベント記事の一覧 Column / Stay Journal コラム・宿泊体験記事 一覧 2024.03.27 東京下町の日常に入り込む。地域に根ざした「ホステルホテル」HOTEL GRAPHY 根津 2022.03.22 【STAYを創るゲストの話 vol.3】 コジャ| ホテルで働くアーキテクト 2022.03.22 【STAYを創るゲストの話 vol.2】 Hayato Kagami(Hotel Museum) 2022.03.22 【STAYを創るゲストの話 vol.1】 まろ(おひとりさま。) 2022.03.22 「この街と私のあいことば。」 カラリト五島列島 原野さん

  • 【STAYを創るゲストの話 vol.2】 Hayato Kagami(Hotel Museum)

    【 je prends ça 】は、金沢・北陸を中心した美味しいお菓子を集めたセレクトショップです。 日常生活にもっとお菓子を取り入れるライフスタイルをご提案します。 記事一覧にもどる ホテル専門共創採用メディア Studio STAY は 「Behind the stay」をタグラインとしています。 ホテルが作っている宿泊体験の裏側を取材し、求人情報とあわせて掲載します。 しかし、宿泊体験を作るのはホテルだけではありません。 宿泊体験は、ゲストとの共創。ゲストが居て初めて体験が完成します。 「STAYを創るゲストの話」では、 「泊まる」の新しい楽しみ方を実践している 3名の方にコラムを寄稿していただきました。 それぞれが見出した宿泊体験の価値。 あなたもぜひ、次の旅やライフスタイルに取り入れてみませんか? ーーvol.2を書いてくれたのは、学生向けホテルポータルサイト 「Hotel Museum」 を運営する、 立教大学観光学部4年の鏡さん 。ゼミ仲間と共に気になるホテルへ取材に赴き、「日常を彩るひと宿」を紹介している。私(編集長ホテルみるぞー)が学生の頃にこのサイトがあったら、どれほど良かったか…。学生時代には戻れないけれど、学生目線のレビューは今のホテル創り、ホテル選びのヒントとしても取り入れられそうだ。 学生ならではのホテルステイの楽しみ方や、Hotel Museumでホテル選びをする時のポイントなどを教えてもらった。 1、わたしたち流、ホテルでの過ごし方  この数年間で学生のホテルでの滞在スタイルの細分化が進んでいると感じます。記念日利用やアフタヌーンティー、カフェ利用のように従来にも見られたホテルならではの非日常さを味わう過ごし方から、 推し活利用やムービーナイト利用 のような、各々の日常生活の延長線とまで思えるような過ごし方まで、現在進行形で新しい愉しみ方が生まれていると思います。  このように 滞在目的の多様化 が進んでいるため、施設を選ぶ時の目線も時々によって違っていて、例えば、推し活が滞在目的なのであれば、客室にTVやプロジェクター等の映像媒体があることが必須条件で、携帯とかパソコンに接続できる機器の有無、客室に推しカラーが使われているか否か、等のように挙げていけばキリがないのですが、利用シーンによって優先順位も大きく変わってきます。ちなみに筆者はというと、 ラウンジやロビーで作業したり、交流したり することが好きなので、 施設の共用部が持つ機能や空間の雰囲気を重視 することが多いです。 2、ホテルの「スタッフさんに質問」します  Hotel Museumでは、ホテルの設備やコンセプトを紹介する他、 「スタッフさんに質問してみた。」 という項目を設け、スタッフさんの個人的なおすすめの過ごし方などをインタビューし掲載しています。  この項目を入れた意図は、ホテルにおいて最大の創り手であるスタッフさんであるからこそお話してくださる背景や魅力を、読み手の皆さんに感じていただきたいからです。今の時代、SNS等で ホテルにおける視覚的な魅力はいくらでも発信されていますが、なかなかその裏にある物語的な魅力には触れられていない と思うのです。そこで、我々は 最前線でその魅力を創り続けているスタッフさん に焦点を当て、スタッフさんの目線を通して紹介していくことで、各々のホテルが持つ精神性をお伝えしていきたいと考えています。読まれた方々が 滞在時のスタッフさんとのタッチポイント としてこのサイトにある情報を用いていただけたら、書き手冥利に尽きます。 3、ホテルステイが日常にある学生には、どんなメリットがある?  間違いなく、 人生が豊か になります。先に述べたように、ホテルが提供してくれるものを最大限に享受するも、自分(達)に合った滞在スタイルを生み出すも良しと、受動的かつ能動的にその時々の時間を過ごすことが出来るのは、日々何かに追われることが多い私たちにとって非常に贅沢な体験だと思います。贅沢であるからこそ、なかなか日常に落とし込み難いと感じる気持ちも分かりますが、これほどまでに 衣食住働遊全ての面と接触出来る媒体 はないと思うので、是非 自分ならではのホテルとの接点を見つけて 、良い時間を過ごしていただきたいです。 4、Hotel Museumで、ホテルステイをもっと楽しむ 学生向けホテルポータルサイト「Hotel Museum」は大学で宿泊事業を学ぶゼミに所属している学生が宿泊産業の魅力をより多くの人(特に同世代の学生)に知ってもらいたいという想いを込めて運営を行っています。『学生に、まだ出逢ったことのないホテルステイの魅力を観光学部生の視点を通して伝える』をコンセプトに、各ホテルの持つ背景やスタッフの方の想いを届けていきます。美術館や博物館の”まえがき”のように、皆さんのホテルステイがより良いものになるようなコンテンツを発信していきますので、スキマ時間にご覧いただけたら嬉しいです。 HOTEL MUSEUM / -あなたの日常を彩るひと宿を見つけるために- ポータルサイト: https://hotel-museum.org/ Instagram: https://www.instagram.com/hotel_museum_org/ お問い合わせ先:contact@hotel-museum.org 【STAYを創るゲストの話 vol.2】 Hayato Kagami(Hotel Museum) 2022.03.22

  • 【STAYを創るゲストの話 vol.1】 まろ(おひとりさま。)

    【 je prends ça 】は、金沢・北陸を中心した美味しいお菓子を集めたセレクトショップです。 日常生活にもっとお菓子を取り入れるライフスタイルをご提案します。 記事一覧にもどる ホテル専門共創採用メディア Studio STAY は 「Behind the stay」をタグラインとしています。 ホテルが作っている宿泊体験の裏側を取材し、求人情報とあわせて掲載します。 しかし、宿泊体験を作るのはホテルだけではありません。 宿泊体験は、ゲストとの共創。ゲストが居て初めて体験が完成します。 「STAYを創るゲストの話」では、 「泊まる」の新しい楽しみ方 を実践している 3名の方にコラムを寄稿していただきました。 それぞれが見出した宿泊体験の価値。 あなたもぜひ、次の旅やライフスタイルに取り入れてみませんか? ーー皆さんは、「あえてひとりでホテルに宿泊」したことはあるだろうか。 vol.1を書いてくださったのは、人気メディア「おひとりさま。」を運営されている、まろさん(インスタグラムのフォロワーさんは、なんと5.5万人!)。平日ほとんどホテルで暮らす生粋のホテルラバーであり、おひとりホテルステイのパイオニア的存在なのだ。 そんなまろさんに、ひとりホテルステイの魅力と、それを堪能する方法をお話しいただいた。 「おひとりさま」のための宿泊プラン、さらには漫画まで!最後までごゆっくりご覧ください。 1、おひとりさま流、ホテルでの過ごし方 こんにちは!ひとり時間を楽しむメディア「おひとりさま。」を運営しているまろです。 誰かと過ごすのももちろん楽しいけど、ひとり時間だからこそ味わえる世界もあるなと思い、このメディアを運営しているのですが、過ごし方の中でも特に好きなのが 「ひとりホテルステイ」 です。 誰かと泊まりに行って、感動を共有したり、朝まで語り尽くしたりすることも大好きなんですが、私の場合はその人との時間を大切にしたい思いが強すぎるのか、 ”ホテルとの時間” がなくなってしまうんですよね。 なので、 ひとりのときは、とことんホテルに向き合います。 それくらいホテルが好きなんですよね。変態みたいに思われるかもしれませんが…はい、そうです。私は変態です。(笑) たとえば、私は最近クラシックホテルが大好きで良く行くのですが、富士屋ホテルに行った時は、ダイニングでこのストローを手に取って、しばらく愛でていました。 誰かといたら「それでさ~」って言いながら、この愛おしさなんかに気づくことなく、ストローの袋をべりべりっと破いていると思うんですよね。 でもひとりだと、この愛おしさにも、ちゃんと気づくことができる。これは、やっぱりひとりステイならではだなと思います。 変態だと思いますよね…?そうです、私は変態なんです。大事なことなので、繰り返します。(笑) でも、この 変態ぶりを時には解放することが、実は大事だと思っています。 それくらい、 自分の好きなことを、誰の目も気にせずに、とことんやり尽くす時間 って時には必要だと思うんですよね。特に本当にやりたいことを見失っているときには、自分の欲求に素直になることで、「私ってこういうことが好きなんだ」って気づいたりもして。 ちなみに…このストローを手に取って凝視しているときにふと、「スタッフさん、きっと不審者だと思うだろうな」とさすがに心配になったのですが(笑)、サーブしてくれた方は「そんなところまで気づいてくださって、ありがとうございます。ホテルのロゴ、可愛いですよね。実は、ストローの袋以外にも、あらゆるところにロゴはたくさん潜んでるので、ぜひ探してみてくださいね」と、優しく声をかけていただきました。さすがの富士屋ホテルです! 2、 ひとりでホテルを楽しむためのヒント そうやってホテルと向き合うことで、やっぱりホテルの空間をつくっているスタッフさんとの関わりも、ひとりステイだと印象に残ることが多くて。 ひとりだからこそ、スタッフさんのホスピタリティが沁みる んですよね…。 複数回リピートしているホテルは、スタッフさんが素敵だから、という理由でリピートしているところがとても多いです。 スタッフさんとの思い出は、数えきれないほどありますが、なかでも忘れられないのが、今は残念ながらクローズしてしまった「Hotel CLASKA」にひとりで滞在した時のこと。 連泊で滞在していたのですが、仕事がかなり詰まっていて、しんどい状況で。普段だったら、気分転換に外食しに行くのですが、そんな余裕もなくて、連日テイクアウトをしまくっていたんです。 受け取りして、チェックインカウンターの前を通ってお部屋に戻っていたのですが、ある日、お部屋に戻って少しすると、ドアをノックする音が聞こえて。 出ると、なんとスタッフの方が、お皿とフォーク&スプーンを持ってきてくださっていて、「良かったら、お使いください」と。 「ありがとうございます」と受け取った後、ひとりでちょっと泣いちゃったんですよね。今の私には、こういう優しさが必要だったんだよなあって。 「大丈夫ですか?」と心配されて声を掛けられていたら、それはtoo muchだったと思うし。昔、ドラマ「着飾る恋には理由があって」で、会社の先輩役の向井理が、後輩役の川口春奈が道で泣き出しちゃったときに、さりげなく周りの人に見えないように立って隠すシーンがあったんですが、まさにそんな優しさでした。(笑) やりすぎてもダメだし、やらなすぎてもダメで。 ホスピタリティって本当に奥深い! そんな 素敵な気遣いにふれて、余韻を楽しめる のもひとりステイならではかなと思います。 3、 ホテルとのコラボレーション「ひとりホテルプラン」 そんな、ひとりホテルステイ好きが高じて、より多くの人にひとりホテルステイを楽しんでもらいたいと思い、「ひとりホテルプラン」を企画しました。 「ひとりでホテルを堪能してみたいけど、変に思われないかな」「ちゃんと楽しめるかな、夕飯や夜の過ごし方どうしようか…」など、 ひとりホテルステイをしてみたいけど、勇気が出ない人を後押しできるようなプラン を作りたいと思ったからです。 ありがたいことに、この思いに共感してくださったいくつかのホテルさんとコラボレーションして実施させていただきました。 プランを販売させていただいたことで、 ひとりホテルステイデビュー を楽しめたというお声をたくさんいただけたのはもちろん、 ひとりだからこそ柔軟に日程を組める ので、ホテルにとって集客が難しい平日に多く予約が入ったり、混雑しておらずひとりでゆったりできる閑散期の予約が埋まったりと、ホテル側にもメリットが生まれて、Win-Winとなれたこともすごく嬉しかったです。 これからも、色んなホテルさんとコラボしていきたいなあと思っています。 4、「おひとりさま。」で、ホテルステイをもっと楽しむ そして、なんと信じられないことに、このアカウント「おひとりさま。」が原案となり、漫画化され、コミックス第一巻が発売されました〜!! ©『おひとりさまホテル』まろ マキヒロチ/新潮社 https://www.amazon.co.jp/dp/410772557X?ref_=cm_sw_r_mwn_dp_SH9P2R5KCK86V378S49P タイトルは、その名も 「おひとりさまホテル」 。そうです、まさに私が楽しんでいる、ひとりホテルステイの世界観が描かれています! しかも、描いていただいてるのは「いつかティファニーで朝食を」などで知られる マキヒロチ先生 !!歓喜。 作品には実際のホテルが登場し、ホテルの設計会社につとめる4人のメインキャラクターたちが、それぞれ思い思いにひとりステイを楽しんでいます。 ひとりだからこそ、お部屋でだらだら誰の目も気にせず寛いだり、ディテールにうっとりしたり、 「そう、これがひとりステイの良さなのよね~」と共感の嵐 。 個人的には、各話で、ひとりで見るホテルの景色が、見開きページになってるのがたまらなくて...。 漫画で、ぜひぜひご覧ください!ひとりホテルステイの魅力を感じてほしい です。 そして、 いつかあなたもひとりホテルステイを試してみてもらえたら、とっても嬉しいです。 ひとりホテルステイの魅力を感じてほしいです。そして、いつかあなたも「ひとりホテルステイ」を試してみてもらえたら、とっても嬉しいです。 Instagram: https://www.instagram.com/ohitorigram/ 【STAYを創るゲストの話 vol.1】 まろ(おひとりさま。) 2022.03.22

  • 【STAYを創るゲストの話 vol.3】 コジャ| ホテルで働くアーキテクト

    【 je prends ça 】は、金沢・北陸を中心した美味しいお菓子を集めたセレクトショップです。 日常生活にもっとお菓子を取り入れるライフスタイルをご提案します。 記事一覧にもどる ホテル専門共創採用メディア Studio STAY は 「Behind the stay」をタグラインとしています。 ホテルが作っている宿泊体験の裏側を取材し、求人情報とあわせて掲載します。 しかし、宿泊体験を作るのはホテルだけではありません。 宿泊体験は、ゲストとの共創。ゲストが居て初めて体験が完成します。 「STAYを創るゲストの話」では、 「泊まる」の新しい楽しみ方 を実践している 3名の方にコラムを寄稿していただきました。 それぞれが見出した宿泊体験の価値。 あなたもぜひ、次の旅やライフスタイルに取り入れてみませんか? ーーvol.3を書いていただいたのは、 「コジャ| ホテルで働くアーキテクト」 さん。 一級建築士でありホテル運営会社に勤めているコジャさん。その傍ら、ご自身のホテルリサーチをアウトプットする場として、自宅のリノベーションプロジェクト「ジマルーム」を手がける。泊まったホテルの緻密かつ丁寧なスケッチは可愛らしくもあり、ホテル愛をひしひし感じ、毎回「いいね!」せざるを得ない。 そんなコジャさん流のホテルステイの楽しみ方をはじめ、ホテルをヒントに快適な住まいを作るにはどうしたらいいか、教えていただいた。 ▲ジマルーム。 これが自邸だなんて…!! 1、 ホテルは最高のショールーム ホテルに宿泊した時はほぼ必ず部屋を細かく調査、採寸、データとして残すようにしています。良いなと思ったことはもちろん、ダメだなと思ったことや、こうしたらよかったのに、という気づきも含めてメモを残します。建築、インテリアだけではなく、細かい備品やアメニティ、食事、スタッフのサービスだって気になればスケッチして残します。 記録に残すことやスケッチをすることが好きだということもありますが、滞在した体験をただの思い出で終わらせず、 何か少しでも再現性あるものにしたい 、という考えからホテルに泊まる際には少し時間を確保して作業するように心がけています。自宅に帰ってからはゆっくりと記録を整理、データ化していますが、沢山のホテルを体験・リサーチしていると色々と見えてくることもあります。日本に存在するホテルの数は現在約5.5万施設、客室の数は170万室を超えています。その ホテル、客室の分だけ多くの先人の知恵が積み重なり洗練されてきた空間 だと考えると、とても効率の良いリサーチ方法だと考えています。 また、最近は働き方や住まい方が変容しつつある今、 住まいとホテルの境界はゆらいでいる ような気がします。ホテルが非日常の場所という位置づけではなく、もっと日常の延長のような親しみやすい存在に、逆に住まいはもう少し非日常感ある特別感ある場所になっても良いなと感じることがあります。昨今様々な価格がどんどん高騰していく中で、限られた予算の中で工夫を凝らしてつくる、という観点ではホテルも住まいも同じです。コンパクトな空間でも居心地良い場所をいかにしてつくるか?というテーマとして考えても、ホテルの客室はそのアイデアがたくさん詰まっています。"部屋づくり"として最高のショールーム体験をできるのがホテル客室なのです。 2、 今日からできる”質の高い小さなくらし” 限られたスペースの住まいにおいて、 不必要に広さを求めるのではなく質の高い暮らし が実現できるアイデアを ホテル客室から学んだ事例 からいくつかご紹介します。 A.カーペットライフ ホテルでは当たり前のカーペット。住まいではメンテナンスの観点で敬遠されることも多いと思います。もちろん、しっかりメンテを考慮されたカーペットであることは必須ですが、いくつか良い効果があります。まず、家具がなくてもどこでも床で寛ぐことができるため平面を有効活用することが可能です。また、床中心で暮らすことが増えると目線が下がり、天井高さは変わらないのに相対的に高く感じることもでき ます。(ちなみに、我が家で採用した「堀田カーペット」はオススメ商品です) B.アウトベーシンスタイル 洗面スペースは必ずしも水廻りの個室に閉じ込める必要はありません。お風呂、脱衣所、洗面を全て個室として壁をたててしまうのではなく、洗面をリビング・寝室側に移動してしてしまう"アウトベーシンスタイル"が最近ホテルで良く見られるようになりました。理由はシンプルに空間の圧迫感を軽減することができるからです。コロナを経験したことにより、衛生面を気にするようになったことから住まいでも玄関付近にこのスタイルを採用し、すぐ手洗いができることを希望される方も増えてきたようです。 C.家具は低く設計する 一般的に決まっている家具の高さ寸法を疑うことも大切です。むやみに高い家具をレイアウトしてしまうと圧迫感が出てしまいます。使い勝手や収納についてはしっかりと検討しつつも、低めの家具を選ぶことができると、広々とした空間が演出できます。コンパクトなホテル客室でもこの考え方がうまく反映されている所は快適に感じることが多いです。 D.あえて小さな部屋を選ぶ 一般的に必要だと言われている住まいの平米数だったり、nLDKという指標を疑うべきだと感じています。不動産業界は広さである程度単価が決まることも多いので、単純に広ければ広いほど価格は上がっていきます。私が住まいを購入するときに探しているエリアの物件が80〜85万/平米程度でした。単純計算ですが、5平米(約3畳)程度小さい物件を選ぶと400万安くなるいうことになります。本当にその5平米は必要でしょうか。ただ狭いだけだと不便だと思いますが、先述の通りのアイデアを実践したり、都心近くに住んだりする立地の費用に充てがうなど質の高い暮らしを選ぶことも考えてみてほしいな、と思います。 ▲カーペット ▲アウトベーシンスタイル 3、 見た目以上の”ホテルライク”を求めて ここ最近 ”ホテルライク” という言葉を良く目にするようになった気がしたのでGoogleで調べてみると、なんと5年前に比べて4倍程多く検索されていることが分かりました。住まいを選ぶとき、設計するときのイメージとして検索されることが多いのだと推測できます。実際検索してヒットした記事に書かれている内容を見てみると「統一感のある色味」「アクセント壁をつくる」「照明にこだわる」「オシャレなアートを」等々、どうしても 見た目に関わるもので且つ少し抽象的な表現 が多くなりがちでした。 もちろん、インテリア計画において見た目はとても重要ですが、 質の高い空間づくりを目指すときはもっと複雑で繊細な検討が必要 になります。見た目だけのホテルライク(ホテルっぽい)ではない、 もう一歩踏み込んだレベルでのホテルらしさ 、ホテルノウハウの知見が広まっていくと良いなと考えています。ホテル滞在で詳細までメモを取る意図はまさにここに有ります。ただのイメージだけであれば写真を撮れば良いのですが、そこからもう一歩踏み込んで 寸法や構成、その時感じた感情なども含めて記録 することで、見た目だけはない 本質的な質の高い空間づくり をリサーチすることができると考えています。 ▲訪れたホテル平面図のデータ一覧。 4、 「ジマルーム」及び「コジャ」の活動の紹介 自分は(コジャ)は元々、建築設計事務所に勤めていましたが、現在はホテルの運営側へと立場を変えて仕事をしています。設計者ではない立場になることで新しい視点に気がつけるようになりたいことがキッカケでした。プライベートでも時間ができたら様々なホテルを訪れることを継続しています。 ここ数年そんな生活をしていて、 良い体験というものは何か決定的な要素1つで成り立つものではなく、小さなサービスの積み重ねでできているのだ と思うようになりました。そしてそれは、意識しないと思い出すことはできないような細かい要素も含まれています。「顔も覚えていないけどなんだか丁寧なスタッフだったような気がする」「細かい味を思い出せないけど満足したことは確かである」のように、曖昧にしか覚えていないとしても、そう思わせるための小さなサービスはいくつか存在し関連し合っていたはずです。日々のホテルリサーチについて細かすぎることをメモに残す意味にも納得できるようになり、より一層磨きがかかっています。 そんな様々なホテルリサーチをアウトプットする場として、自宅のリノベーションプロジェクト「ジマルーム」を昨年つくってみました。上記で記載したような”質の高い小さな暮らし”を目指すべく、ホテルに実際に複数のホテルに泊まりながら図面を描くなど、検討を重ねたプロジェクトです、ぜひご覧くださいませ。今後も"ジマルーム"に住みながら、そしてまだ見たことないホテル体験をリサーチしながら、ホテルと住まいの間を考えていきたいと思います。 <参考リンク> コジャ: https://lit.link/koja# ジマルーム: https://rntja.com/JIMAROOM ▲ジマルームHPより ▲ジマルームHPより 【STAYを創るゲストの話 vol.3】 コジャ| ホテルで働くアーキテクト 2022.03.22

  • 「この街と私のあいことば。」 カラリト五島列島 原野さん

    【 je prends ça 】は、金沢・北陸を中心した美味しいお菓子を集めたセレクトショップです。 日常生活にもっとお菓子を取り入れるライフスタイルをご提案します。 記事一覧にもどる この街で働き、暮らすなかで いつも身近に感じている大切な「ばしょ」「もの」「ことば」をインタビュー。 それら「三つの合言葉」から、街の魅力を深堀りするコラムです。 気になった街には、ぜひいつか訪ねてみてください。 合言葉で、知られざる街の扉を開けよう—— 今回は、長崎県の福江島にあるホテル 「カラリト五島列島」 で働く原野さんにお話をお伺いしました。 原野さんは、カラリト五島列島で主に「asobi」を担当している。 asobiとは、言葉の通り五島列島を楽しむための「遊び」体験を用意してくれるセクションだ。 asobiでは釣りやハイキング、テントサウナ、焚き火などのアクティビティができて、しかもそのほとんどが参加費無料、予約も不要。それは 「偶発的に遊べること」 を大事にしているから。asobiスタッフの方はまるで 親戚のお兄ちゃんお姉ちゃん のような距離感で、「遊び」に誘ってくれる。楽しいだけでなく、五島の人の温かさを感じられる時間でもある。 私がカラリト五島列島に宿泊した時も、原野さんが準備してくれたテントサウナで心ゆくまでリフレッシュできた。サウナはしっかり高温で、フレッシュな木の香りがするロウリュまで用意してくれている。 原野さんが薪をくべながら「熱さ加減どうですかー!?」と声をかけてくれた。もう、ばっちりです。アチアチのサウナで汗をかいた後は、鮮やかな青い海を眺めながらチェアの上に寝そべるのだ…最高ですとしか言いようがない…。 原野さんは終始笑顔でサウナの管理をしながら、テンション最高潮の私と、一緒に遊びを楽しんでくれているように感じた。 そんな原野さんは、現在asobiの担当の他にも、フロント、レストランを含む全セクションのプロジェクトマネジメントも同時に行っている。 この街の「遊び」を知り尽くす原野さんに、合言葉を聞いてみた。 ばしょ 【半泊】 「五島は、程よく山と海があり、外でのライブアクティビティにはまず困らないです。自分で 娯楽を見つけられる人にとっては最高 !映画館やバッティングセンターも楽しかったんですが、キャンプとかマリンスポーツとか、やったことなかったことに挑戦している自分が今はすごく好きです。」 充実した福江島ライフ。中でも「半泊」というエリアが、原野さんが個人的に大好きな場所だそうだ。 「半泊海水浴場の浜は、 玉砂利 でできているんです。波の音は普通『ザーッ』と聞こえるのに、そこでは砂利石が『ころころころ…』と転がるんです。他の海にはない音ですね。 しかも立地も面白くて、何だか「千と千尋」の冒頭シーンみたいな、森の中の細い道を車で通っていくんですよ。その先に、抜群の景色が広がっている。本当に、 心が洗われる場所 です。」 半泊は、五島列島福江島の北東部にある。江戸末期、潜伏キリシタンの数家族がキリシタン弾圧から逃れるため大村藩からやってきたものの、全員が住むには狭すぎたため、半分は別の地に移住し、半分がこの地に留まったことから、「半泊」と呼ばれるようになったそうだ。 「そこには『さとうのしお』というカフェがあるんですよ。僕が 五島の母、五島の父 と思っている店主のご夫婦がいて、そのお二人とお話しするのがとても心地いいんです。コーヒーを飲みながら『あら今日も来たの〜』『来ました〜』みたいな、たわいも無い会話をしているうちに、地元に帰ってきたような温かさに包まれて、心がデトックスされます。」 もの 【島民カード】 この街の暮らしでなくてはならない、大切なものを聞いてみたら、予想外の答えが返ってきた。島民カードとはなんですか!? 「島民カードは、 移動費がおおよそ半額になるカード です。2万円かかる飛行機代も1万円になるんですよ!」 「島にいるだけだと視野が固まってしまうし、色んなところを見て良いところを吸収しないとダメだと思うんです。それに、今まで出会った人たちも大切にしたい。人と人の繋がりはずっと続くもので、それは絶やしてはいけないもの。」 福岡が地元の原野さんは、たびたびカードを活用して帰省している。 「外に出ると五島に帰りたくなるし、五島にいたら外に出たくなる。それがサイクルで続くから、僕はここに居られるっていうのはあるかな。」 原野さんが勤めるカラリト五島列島には 『都市と地域を行き来する』 という理念がある。働く人もその理念を叶える自由さ、身軽さを島民カードが後押ししてくれているのは間違いないだろう。 島民カードはたった300円で作れるらしい!これは五島に移住したら、使わない手はないですね。 ちなみに「なくてはならない、五島らしくていつも身近にあるもの」、他には「野菜と魚」とのこと。確かに五島は本当に食材が美味しい。なかでも原野さんの一押しはパプリカとイカだ。 「パプリカはダントツで美味しい!甘いし大きいし、ジューシー。だからと言ってなぜ美味しいのかは誰も分かってないんですよ(笑)五島の土が良いとしか言われてなくて。」 「魚はこっちにきて色々食べてきたんですが、移住前に島の人が出してくれたイカの天ぷらが本当に美味しくて。ほぼ、それで移住を決めました(笑)」 冗談っぽく笑う原野さん。移住した今でも島の方からイカのお裾分けがあると、跳んで喜んでしまうそうだ。普段から食卓に並ぶような食材が、絶品と言えるほど美味しいのは、なんて豊かなことだろう。 ことば 【お金でなく、気持ちが飛び交う。】 この場所の魅力は、何よりも「人の温かさ」だと語る原野さん。福江島の人は、感謝の気持ちや、元気にしてる?の意味を込めた行動を、お金ではないやりとりで表現することが多いそうだ。 「ありがとうの気持ちをお金ではなく、物々交換で表現しているなって。 お金が絡まない行為だからこそ、特別な日だけではなく、何かをあげる、あげる為に会うなどの光景が日常に満ち溢れていて、 その行為の本質に 『自分の嬉しい気持ちを分けたい』 みたいな感覚があるんですよ。それが 五島らしい、人の温かさ ですね。」 例えば、島の方達が「野菜が余っているから、食べない?」「カツオがいっぱい釣れたから、いらない?ウチに取りに来てよ。」と、頻繁に声をかけてくれること。自分で全部食べられるだろうし、市場で売ることもできるのに、分けてくれる。シェアすることで、美味しさや釣れた喜びなんかも一緒に楽しく共有したいという感覚だと、原野さんは言う。 しかも、島の人たちは手渡す時に 「ありがとう、頑張ってね!」 と声をかけてくれることもあるそうだ。優しくしてもらっているのはこちらなのに。お裾分けを介して、 あなたを気にかけているよというメッセージ が伝わってくる。そんなやりとりが島のあちこちで起こる。 「五島に来てこのコミュニティに出会えたことを、すごく良かったと思っています。恩返しできていないのが悲しいぐらいです。でも何かあったら絶対お返ししたいなって、心の隅でいつも思っています。本当にこの島が好きですね。」 年間200人を超える移住者を受け入れる、五島列島。その中でも福江島は特に利便性も高く、移住者も多い島だ。移住者も含め周りの人との繋がりが自然と生まれ、気付けばみんなが親戚のような関係になっている。日常的にお互いを気にかけ合う、温かな雰囲気がこの島にはあった。 文・ホテルみるぞー 「この街と私のあいことば。」 カラリト五島列島 原野さん 2022.03.22

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    運営会社 COMPANY 代表者 メールアドレス 所在地 設立年月 法人名 Studio STAY 担当者 伊藤 千夏(ホテルみるぞー ) 松下 秋裕 2020年11月 office@linnas-design.com 〒920-0902 石川県金沢市尾張町1-2-8 [MAP ] 株式会社Linnas Design(リンナスデザイン) ホテル開発・経営・運営 事業内容 Studio STAYは、同じ想いを抱き 共に創る仲間と出会うことができる、ホテル共創採用メディアです。求人情報に加え、コラムなどを掲載しています。 メディアの運営以外にも、提携会社と共に下記のようなさまざまな企画・運営を行っております。ご相談内容によって柔軟にご提案をさせていただきます。 お気軽にお問い合わせください。 Studio STAY にできること OUR SERVICE 〉 ホテル運営 〉 写真撮影 〉 ウェブサイト改修/ブランディング 〉 採用支援 お問合せはこちら 〉 ホテル運営 採用だけでなくホテル運営全般(マーケティング、運営体制の改善、DX化等)に関してお困りごとがありましたら、お気軽にご相談ください。Linnas Design によるホテル運営の引き継ぎから、コンサルティング業務としての運営伴走まで、幅広くソリューションを提供いたします。 〉 写真撮影 取材でお伺いした際にプロのカメラマンが撮影した写真を別途お買い求めいただくことが可能です。また、取材のタイミングで館内の撮影をさせていただくことも可能です。拘束時間や撮影枚数、撮影内容によって金額が変動しますのでご希望がありましたら別途お見積もりをさせていただきます。 〉 ウェブサイト改修 / ブランディング ホテルのウェブサイト改修やリブランディングのサービスをLinnas Designのグループ会社、MiKS Inc. にて提供しております。私たち自身がホテル運営をしていることを大きな強みとして、顧客にコンセプトを直感的に伝えるブランディングを行なっております。 〉 採用支援 Studio Stayは採用サイト制作や採用コンサルティングを行う会社、Spring & Co.(スプリングアンドカンパニー) さまに監修いただいております。メディアとしての記事掲載だけでなく、直接的なアルバイトスタッフの採用、採用サイト作成、求人票作成等でお困りごとがございましたら、Spring&Co.の担当者をご紹介させていただきます。

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