top of page

上野駅で電車を降り、不忍池に近い出口に向かって歩いた。まだ少し肌寒いが、カラリと晴れた2月末の今日、上野駅前は多くの人で賑わっている。今回は、大都市東京でありながら下町情緒を感じられる「谷根千」エリアに宿泊だ。


公園を横目に15分ほどてくてく歩くと、静かな住宅街に辿り着く。ブルーグレーのタイルに「HOTEL GRAPHY」の文字が浮かぶエントランスを見つけた。HOTEL GRAPHY 根津LIVELY HOTELSが手がけるホテルで、ホステルのような自由でラフな雰囲気でありながら、ホテルとしての設えや快適さを兼ね備える。



私は東京に住んでいるけれど、見慣れない根津のローカルな空気感に胸が踊る。「何かおもしろい出会いはあるかな?」バックパックを背負ってチェックイン、気分はしっかり旅人だ。若いスタッフさん達が、フロントで笑顔で迎えてくれた。


……


チェックインを済ませ、木製のキーホルダーがついたカギを受け取る。早くお部屋に行きたいところだが、今日は済ませないといけない仕事がある。フロントの奥に共用ラウンジがあるというので、そこで少し作業させてもらおう。



共用ラウンジには、テレビを囲むように配置されたソファ席、テーブルスペース、壁のイラストが印象的なコージーなスペースがある。広い窓から柔らかい日差しが入っている。リビングのように心地よくて、多目的に使える柔軟性のある場所だ。


さらに、共用ラウンジの隣にはキッチンがある。もはや「調理場」と呼んでもいいくらい広く、作業台も多くてとても使いやすそう。部屋番号が割り振られたクリアボックスは、長期間滞在するゲストが食材を保管しておくために。このキッチンは24時間利用できることも含めて、長期滞在するには嬉しい設備だろう。

キッチンと共用ラウンジの間には、ビリヤード台とテーブルサッカーがあった!余談だけどLIVELY HOTELS系列のホテルでは、ビリヤードやゲームの類をよく見かける。自然と人が集まれる、素敵な仕掛けだなと思う。

ビリヤードって、なぜか大人の嗜みって感じがするな。私も颯爽とゲームに参加して、腕前を見せつけたいところだが、私はビリヤードを一度たりともしたことがないのだ。人は急に凄腕のビリヤードプレイヤーにはなれないので、諦めて仕事を始めることにする。ラウンジには、私の他にも数人パソコンを開いているゲストがいた。部屋よりも、少し人の気配がある場所のほうが捗るよね。

……

仕事がひと段落したところで、客室へと向かう。泊まるお部屋は「スーペリアシアターキングルーム」。キングベッド1台に、冷蔵庫やデスク、バストイレもついている。

HOTEL GRAPHY 根津では、このようなプライベートな部屋タイプの他にドミトリータイプもある。より価格をおさえて、他ゲストと出会えるホステルらしい滞在をしたい人にはそちらがおすすめ。



お部屋にあったデスクやライトはビンテージ調で、良い意味でホテルらしくない。「画一的に作られている」という印象がないから、何となく自分がスッと馴染めるような空間だ。一方で、カーテンのグラデーションやオリジナルロゴのクッションが、お部屋に立体感を生み出している。


そしてこの客室には、100インチのスクリーンと最新のプロジェクターも完備。日常と非日常のいいとこ取りのようなステイができそうだ。


サービスのコーヒーを淹れて、ウェルカムクッキーをかじる。リラックスタイムを噛み締めるようにちょっとずつかじると、ふんわりと紅茶の香りがした。


……

今日の滞在で、ひとつ楽しみにしていたことがある。それは夕方6時から始まる、1時間限定の「フリービール」タイム!宿泊者は、1階のカフェでビールを無料で飲むことができる。きっとこれもまたLIVELY HOTELS系列ならではの、ゲスト同士の交流を生むきっかけ作りなのだ。


楽しみにしていた、とはいうものの、私はこういうイベントで人と話せないタイプの、シャイなジャパニーズなのだが……。この機を逃したら交流の難易度が上がるだけなので、思い切って輪の中に飛び込んでみた。欧米系の男性4人が同じテーブルに座っていたので、ビールを片手に声をかけた。大きな声で「Hi!」って言うのが大切だ(笑)。彼らは快く会話に入れてくれて、日本に来るまでの旅の話を聞かせてくれた。

テーブルの反対側では、同世代くらいの女性が一人でビールを飲んでいた。先の成功体験で勢いづいた私は、お酒も入ってイイ感じになって、彼女にもヌルッと話しかけてみた。彼女は東北の方に住んでいるが、ひんぱんに東京出張があるのでHOTEL GRAPHY 根津のドミトリーを定宿にしているらしい。


どんなところが気に入っているのか聞いてみると、「仕事終わりにチェックインするから、フリービールは最高〜!あと、ドミトリーなので共用バスルームを使うんですけど、バスマット用のタオルがたくさん置いてあるのも嬉しい。珪藻土みたいに常に置いてあるタイプは使用感が気になることがあるけど、タオルなら1枚取って新しいのを使えるから。」と、何ともユーザー目線な推しポイントが返ってきた。


お腹が空いてきたので、同じテーブルのみんなと別れて、夜ご飯を食べに行くことにした。少し話しただけではあるけど、彼らはもう他人ではなく、名前を知ってるハウスメイトだ。


泊まっているなら同じ空間にいるのだから、またすれ違えば挨拶を交わして、一緒に過ごすこともあるだろう。ひとり旅でも、どことなく拠りどころができたように心が和やかになる。 …… フロントのスタッフさんにおすすめのごはん屋さんを聞くと、HOTEL GRAPHY 根津手作りの周辺ガイドブックを見せてくれた。


「ここは美味しいし、お一人でも入りやすいですよ」と教えてもらったのが、宿から徒歩5分ほどのところにある「日本酒バー 慶」。ここがまた、すごく好みなお店だった。着物の女将に日本酒をおすすめしてもらい、それに合うアテと温かい餡の「つけうどん」を食べた。数席のカウンターは常連さんで埋まっていたが、一見の私にも気を配ってくれたのがありがたかった。



さすが、日々ご近所のお店や観光情報を調べてキュレーションしているスタッフさんのおすすめは間違いない。身も心もホカホカに温まって、宿に帰りぐっすり眠った。


……


次の朝、起きて軽く支度をして、昨日ビールを飲んだのと同じ1階のカフェに降りる。朝ごはんを食べるためだ。


朝ごはんのセットメニューは4種類ほどあり迷ったが、私は「クラムチャウダーと谷根千のパン」セットにした。ドリンクとヨーグルトも付いてくる。近隣のベーカリーから仕入れているという日替わりパンは、地元民から超絶人気なのも納得の美味しさだ。

スープを飲みながら窓の外をふと見ると、小学生が朝日に目を細めながらホテルの前を通って登校して行った。ほっこりする。ここは東京下町の日常に溶け込んでいる。小学生の背中を見送る私も、根津の地域コミュニティの一員になったような気分だ。


ホテルとしての設備やサービスを楽しみつつ、旅人らしい自由さやローカルを探検するような面白さも感じたい。そんな人にぴったりのHOTEL GRAPHY 根津だった。



 

予約はコチラから

HOTEL GRAPHY 根津」公式HP

東京下町の日常に入り込む。地域に根ざした「ホステルホテル」HOTEL GRAPHY 根津

2024.03.27

bottom of page